越境ECって聞くけどよくわからない。
越境ECのメリットやデメリットについて知りたい。
どんなショップなら越境ECをする価値があるの?
みなさんこんにちは。
ShopifyでのECサイトデザインをしているナカムラアキラです。
今回の記事はこのような方にオススメです。
- 越境ECについて知りたい方
- 越境ECを検討している、取り組む予定の方
この記事を読んでいただければ、たった15分程度で越境ECのメリット・デメリットとどんな事業者が取り組むべきかが掴めます。
時間がない方は「10秒まとめ」だけでもぜひご覧ください。
10秒まとめ
越境ECとは、自社ECサイトやECモールを通じて海外展開をすることです。
世界各国の消費者が見込み顧客になり、売上・利益アップが狙えます。
ただし、言語や通貨、法律に対応する必要があったり、通関書類の作成などの手間も発生します。
それを差し引いても越境ECに取り組む価値がある事業者がいます。(詳細は本文で)
それでは詳しく紹介します。
越境ECの概要
![コンテナ船](https://webdesigner-akira.com/wp-content/uploads/2022/07/dan-kb-FNTEEZpNI5E-unsplash-1-1024x683.jpg)
越境ECとは?
越境ECは「越境(えっきょう)」の文字通り、「国境を越えたEC(電子商取引)」のことを指します。
端的に言えば、ECサイトで海外展開することです。
世界のEC市場規模
世界のEC市場は拡大を続けることが予想されます。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、ショップのEC化を図る事業者は多く、2020年に18%だった世界のEC化率は、2024年には21.8%に拡大することが予想されています。
また世界のBtoC(※)のEC市場規模についても、2020年は4.28兆USドルでしたが、
2024年には6.39兆USドルにまで上昇すると予想されています。
今後も世界のショップがECサイト化し、市場規模が拡大していく流れは継続していきそうです。
※BtoCは、Business to Consumerの略で、企業が一般消費者に対して商品やサービスを提供するビジネス形態のことです。
代表的な越境ECの方法
越境ECを行うにはいくつか方法があります。
海外のECモールに出店する
Amazonを例に取ると、日本のAmazonと米国のAmazonではWebサイトが異なります。
普段利用している日本のAmazonではなく、米国のAmazonに出品することで、米国人に対し、商品を販売することができます。
他にも「eBay」(米国)や「天猫国際」(中国)などが有名です。
このような海外のECモール内に店舗を持つことで手軽に越境ECを行えます。
自社のECサイトを越境対応にする(ECカート・自社開発)
海外のサーバーを使い、海外用のサイトドメインを取得し、他言語・通貨の設定などをし、越境対応にします。
構築のためのコストはかかりますが、ターゲットとする国や地域や人に合わせて、柔軟にカスタマイズできます。
モールがいいか自社サイトで構築する方がいいかについては、以前紹介した記事があるので参考にしてください。
越境ECのメリット・デメリット
越境ECを行うにあたりどのようなメリット・デメリットがあるのかを紹介します。
わかりやすくするため、ECモールやECカートを使用した越境ECではなく、自社サイトで越境ECをする場合を前提に解説します。
メリット
1.マーケットが拡大する
越境ECを行う目的のほぼ全ては、「マーケットの拡大」(新規顧客の獲得)でしょう。
2020年、日本の人口は約1億2,650万人です。
中国の人口は約14億3,930万人、米国は3億3,100万人、世界の総人口は約77億5,300人です。
ECサイトを日本の市場だけで展開するのか、世界の市場にも展開するのか、見込み顧客の数は雲泥の違いです。
加えて世界中でECサイトが当たり前のように広がり、ネットで商品を購入することに対する心理的ハードルも下がっていることも追い風です。
2.実店舗の海外展開に比べ、コストとリスクが低い
越境ECと実店舗の海外展開を比較した場合です。
実店舗を海外に展開し新規顧客を獲得しようとすると、
- テナント料
- 人件費
- 在庫
- 専門家の契約料
など莫大なお金やコストがかかります。
また現地の人を雇う、契約をするとなると文化の違いなども大きな障壁になります。
トラブルが発生した際の解決コストもバカになりません。
小規模事業者が安易に実店舗で海外展開はできないのです。(だから商社や卸売業者などが必要になったわけです。)
その点越境ECの場合には、
- 出店費用を割安に抑えられる(サイトの作成費のみ)
- 人を雇わなくていい
- 在庫は持たなくていい(日本から発送する場合)
- 現地の契約関係も減少する
などがメリットとして挙げられます。
もちろん実店舗には手に取って見れたり、直接コミュニケーションがとれるといった利点もあります。
ある程度魅力的な商品やサービスを持っていたり、ブランディングができていたり、予算があるのであれば、初めから実店舗での出店もいいかもしれません。
(それでもマーケット規模を考えたら、ECサイトも並行して作ることになるでしょう。)
デメリット
世界のEC市場拡大の流れに乗り、越境ECを行なって新規顧客を獲得し、売上・利益アップの狙うにあたり、割りに合うのかはデメリットをよく考える必要があります。
1.現地の言語に合わせる
当然ですが、現地の人の母国語またはそれに準ずる言語でサイトを作成する必要があります。
ブラウザの翻訳機能を使った程度ではおかしな文章になってしまい、商品やサービスの魅力がきちんと伝わらず、トラブルの元にもなりかねません。
2.現地の通貨や税法、法律に合わせる
こちらも当然ですが、ECサイトの価格表示や決済を現地の人が使用している通貨に合わせる必要があります。
消費税率だったり、法律にも合わせる必要がありますし、改正があった場合には都度変更する必要もあります。
4.配送コストを考慮する
海外に発送するのは、日本国内に発送するよりもお金も手間もかかります。
越境ECを行なっている事業は、送料を購入者負担にするケースが多いようですが、通関書類の作成、運送会社の手配など手間がかかることは避けられません。
5.為替リスクを考える
忘れてはいけないのが、海外で販売した際の売上を日本円に換える際には、為替による損益が発生します。
細かい為替の話は控えますが、円高・円安の影響で予定より儲かった、儲からなかったということが起き得ますし、円に換える際には為替手数料がかかります。
どのような事業者が越境ECに取り組んだ方がいいか
![](https://webdesigner-akira.com/wp-content/uploads/2022/07/question-mark-g1af645c74_1280-1024x576.jpg)
結局、越境ECはやった方がいいのか?やらない方がいいのか?
前述の通り、越境ECにもコストやリスクがありますが、それらを考慮しても余りある魅力があります。
取り組んだ方がいい事業者
下記に当てはまる事業者にはチャレンジする価値があると、私は考えます。
- 海外でも通用する魅力的な商品、または競争力がある商品がある
- 売上・利益のアップを狙いたい
- チャレンジ精神がある
例えば日本の伝統文化や固有の文化などの商品を扱っている場合。
世界では日本の独特の文化やアニメ・漫画などに対する人気が非常に高く、多少コストがかかっても手に入れたいという方は多いようです。
日本人には見向きもされない商品も、海外の人は喉から手が出るほど欲しいというケースもあるので、そのような商品を扱っている方は越境ECに向いています。
また日本製の品質の高さを評価する海外の方も多いと聞きます。
品質が高ければ、「日本人が作って売っている」ということが競争力に拍車をかけることもあるかもしれません。
海外製品と同じ値段でも選ばれる可能性が出てきます。
越境ECはコストがかかったりリスクがあるとは言え、前述の通り実店舗を構えるよりも大幅に低コスト・低リスクで出店できます。
上記のいずれかに当てはまるのであれば、ぜひチャレンジを検討してみてください。
取り組まない方がいい、まだ早い事業者
逆に下記の事業者はチャレンジをしない方がよい、またはまだその時期ではないと考えます。
- コモディティー商品を扱っている(似たような製品は他にも多くある)
- 価格競争力がない
- コストやリスクに耐えられるほど、安定した基盤がない
- 副業で取り組んでおり、時間がとれない
どれか一つでも当てはまったらダメなわけではありません。
ただ越境ECを行うにはパワーが必要ですので、時期尚早と感じるなら無理はせずに、国内市場で力を蓄えた方がいいかもしれません。
市場はこれからも伸び続けていくので、準備を整えてからでも遅くはないでしょう。
終わりに
いかがでしょうか。
今回は越境ECについて解説をしました。
越境ECを検討している方もいずれ越境ECに取り組む予定の方にも、判断の手助けになったなら嬉しいです。
次回は今回挙げたデメリットを極力減らし、メリットを最大化するための最強のECカート「Shopifyで越境EC」について記事にします。
次回もぜひお立ち寄りください。